「鳳凰網青島」による遠山総領事インタビュー「遠山茂在青島日本国総領事に聞く:外交官と青島との縁」
平成27年5月5日
「鳳凰網青島」ネット記事仮訳
遠山総領事に出会う前、雲の上にあるような距離感に満ちた"総領事"という三文字は、見ただけで怖じ気づくと同時に限りない好奇心をかき立てる言葉であった。外交官のイメージは、無表情で人に自分の心の内を見せず、その鋭い眼差しで、一目で人の心を見抜く、比べようもないくらい格好いいというイメージだった。
遠山総領事は意外にも、常に自信に満ち、優しく穏やかな笑顔を浮かべており、一瞬にして外交官のイメージが近いものとなり、生き生きとはっきりとしたものとなった。40年近い外交官生活で幾度となる困難を体験し、英知や冷静さを蓄積してきたことから、話しぶりや立ち居振る舞いは穏やかで落ち着いていた。
研修生から総領事まで 日中国交発展37年の証人
1978年大学5年生で外交官試験に合格してから今まで、遠山総領事は37年の外交官生活を送ってきた。一人の外交官として、日中両国の関係発展の道標に遠山総領事の姿が常にあった。
1978年秋、研修生だった遠山総領事は、当時中国の副総理であった鄧小平の日本訪問の受け入れ業務に関わり、代表団に随行し、京都・奈良を訪問した。これは1972年に日中国交正常化以来、中国指導者の初めての日本訪問となり、この訪問は日中政府間の大規模な経済協力の第一歩を切り開いたが、この経験は遠山総領事の記憶に今でも鮮明に刻まれている。
1988年夏、竹下登首相は中国訪問で8100億円の第三次円借款を承諾した。外務省の経済協力局で対中円借款業務を担当していた遠山総領事は、二国政府間の最大規模となる資金協力を経験し、また直接的に業務に携わった。
1992年秋、遠山総領事は西安での天皇皇后両陛下の中国御訪問の受け入れ業務に関わり、これは日中国交正常化以降のピークとなった。
遠山総領事が外交官を務めたこの37年間は、中国が推し進めた改革開放政策の37年間でもある。彼は中国改革開放とともに歩んできたと誇らしく語った。この37年間は日中国交正常化以来、安定的に発展してきた37年間でもあった。二国間の経済協力から、国民ひとりひとりによる絶え間ないビジネス交流や文化交流まで、両国関係を結びつける役割を担う外交官として、嬉しく誇りに思うと語った。
海と海鮮の絆 日本人の青島愛
昨年9月、遠山総領事は東京から青島に赴任した。故郷が横浜である遠山総領事にとって、青島には特別な親密感を感じており、横浜と同じような砂浜や海、おいしい海鮮、心地よい気候と新鮮な空気は、青島に故郷の香りを漂わせる。友好的な青島の人々も遠山総領事の印象には深く刻み込まれていて、「温和」という言葉で青島市民を表現した。
この短い7か月間で、遠山総領事は青島に非常に詳しくなった。友人を連れて青島を観光する際の定番ルートを紹介してくれた。まず小魚山で市内を展望し、旧市街で教会、迎賓館などのヨーロッパ建築に触れ、海辺で小青島や八大関を観光する。天気が良ければ崂山へ行き、"海の上にある仙山"の風情を感じる。また遠山総領事はビール博物館をおすすめしてくれた。青島在住の期間は長くはないが、既に青島の真髄である青島ビールを理解している。
遠山総領事は領事館の最新の統計を紹介してくれた。山東省に長期滞在している日本人の数は総計2800人、その中でも青島に在住している人の数は一番多く、約1700人。留学生や研究員、教師は約340人。ほとんどが青島や済南に集中している。中国でも指折りの住みやすい街として、心地よい気候と日本人の好みに合った海鮮料理が味わえる青島に住む日本人や留学生は、必ずや非常に楽しく生活していると遠山総領事は信じている。
双方の交流促進 互いの理解を深める
在青島日本国総領事館の総領事として、遠山総領事は言うまでもなく、ずっしりと重い責任を担っている。昨年9月に青島に赴任した際に、遠山総領事は双方間の交流促進を通し、お互いの理解を深めるという目標を定めた。この目標は今も変わっていない。
第一は双方の経済協力の推進。青島総領事館の統計によると、現在山東省には2000余りの日本企業が投資を展開し、貿易活動に携わっている。日本にとって山東省は、中国国内でも最も重要なパートナーのひとつであり、協力範囲は農業、紡織、エネルギー、ITなど多岐にわたっている。しかし近年、人件費の高騰や円安に伴い、伝統的な協力方式は打撃を受け始めている。例えば、現在、福祉や老人介護の分野で、最新医療や機器を提供するなどしてウィンウィンの道が模索されており、こうした関係方面で新しい協力の方向性を検討することを望んでいるという。
第二は双方の人的交流促進。日本と中国は一衣帯水の隣国であるが、歴史や社会制度の違いにより、お互いの深い理解が不足しているため、双方の直接交流の強化が非常に重要である。ここ数年、日本を訪れる中国人の数は激増しているが、残念なことに中国を訪れる日本人は減少している。昨年訪中した日本人の数は約270万人であるが、主にビジネスに集中している。遠山総領事は更に多くの日本人、特に若者たちに中国に来てもらい、中国を見て交流して、お互いの理解が深まることを望んでいる。
第三は双方の文化交流の促進。日中両国は共にアジアの古い文明国であり、優れた伝統文化を有し、また現代文化の提唱者でもあり、多くのお互いに参考とすべき価値あるものを有している。山東省は齊鲁文化の発祥地であり、日本も齐鲁文化の大きな影響を受けた。遠山総領事は、中国の映画やドラマ、音楽が非常に好きで、自らチケットを購入し、青島交響楽団の演奏会に行くという。文化交流に力を入れることは双方の関係安定と進歩の強い助けになると遠山総領事は言う。
現在青島で領事館が指定する、ビザ申請が可能な旅行社は9社あり、山東省全体でも14社ある。遠山総領事は、今後、指定旅行社数の増化要請に基づいて、さらに多くの中国人観光客が日本を訪れ、日本を理解してもらうために便宜を図っていきたいと述べた。交流強化は理解促進に欠かすことのできない手段であり、言うまでもなくこれは日中がこの先も努力し続けることである。
後記
ここまで語ってきたように、遠山総領事は落ちついた親しみのある言葉で、一人の外交官としての物語や理想、青島との縁を語ってくれた。ここは故郷ではないが、自分の家のような暖かさを与えてくれる。遠山総領事はこの街、ここに住む人のため、海を隔てた故郷との更なる交流に全力を尽くすと胸の内を語ってくれた。