三協化成の東栄工場の訪問

令和6年9月2日
 8月29日、斎藤総領事は三協化成の東営工場(中文: 東営三協化学股份有限公司)を訪問しました。
 東営市の中でも、特に勝利油田を擁する墾利県の一帯には、製油所や石油関連の化学工場が多く見られます。2007年に開設した三協化成の工場もその一画にあります。
 この工場では、簡単に言うと、製油所でのプロセスで発生する有毒ガス(硫化水素 ガス)を加工することにより、液体の化学製品 (液体水硫化ソーダ) を製造しています。出荷先では、軽量で耐熱性にも優れるPPS樹脂という素材に生まれ変わり、鉄に代わる新素材として、電気自動車をはじめとする様々な分野で活用されています。
 硫化水素ガスは大気汚染の原因にもなることから、それを有効活用する技術を持つ三協化成は当初、大気汚染対策を目的に山東墾利石化集団と合弁会社を設立しました。その目標が達成すると同時に、今度は中国で電気自動車が普及しはじめ、PPS樹脂の需要が高まるに連れて、その原料となる液体水硫化ソーダの生産も伸びてきたとのことです。
 PPS樹脂の原料を製造できる会社は日本でも2社しかなく、三協化成はそのうちの一つで、東営の工場は同社にとり海外で唯一の製造工場となっています。中国国内にも同業他社は多数あるものの、不純物の除去レベルなど製品の質の面で、同社は絶対的な優位性を誇っているそうです。
 電気自動車の発達という時代の波にしっかり乗っている日本企業がこの山東省にあることを知り、大変に心強い思いがしました。