正栄食品工業の青島工場の訪問

令和6年9月12日
 9月6日、斎藤総領事は正栄食品工業の青島工場(中文:青島秀愛食品有限公司) を訪問しました。
 正栄食品は、菓子やパンなどの食品業界向けに、国内外から原材料を調達し、加工から卸し、販売まで幅広く業務展開しています。牛乳販売店から始まったという東京の本社は、今年で創設120年という長い歴史を有しています。最近では、マロンペーストの国内最大の生産業者として、日本のモンブランケーキのブームにも貢献しています。
 中国では延吉と青島に加工工場があり、青島では主にドライフルーツの選別や糖液を加える作業を行っています(延吉はナッツ類が中心)。
 作業の性格上、ひと目見ただけでは工程の前後でドライフルーツの形状に変わりはないように思えます。しかし例えばレーズンの選別プロセスでは、アメリカ、トルコ、中国 (新疆)から入荷したレーズンの半原料に紛れている僅かなゴミ、不良果、実についているへたを完全除去するために、かなりの手間がかけられているので驚きました。中国国内の同業者の場合は機械任せが多いようですが、秀愛の工場では最終過程でマンパワーによる再確認も行っており、厳しい日本のクライアントの要求にも自信をもって応えられる体制となっています。
 青島工場から出荷された製品は、グラノーラや栄養バーなど、そのままの形が生かされた商品のほか、パン生地、ソース、チョコレート 、ビスケット、アイスなどの隠し味としても使われているそうです。取扱量としては世界各地のレーズンに続き、国内産では重慶のオレンジピールが最も多いようですが、果物の宝庫である山東省産のリンゴ、イチゴ、桃類もしっかり活躍しています。
 青島工場が開設した2002年当時は、日本でレーズンパンなどに使用される原料レーズンへの品質要求が強まっていた時期で、同工場の業務も日本向けのレーズン選別が中心でした。その後、取扱品の多様化とともに中国国内向けに力を入れるようになり、今では全体の約4割が中国市場向けとのこと。最近ローカル人気の高い栗菓子 (中文:板栗酥) にも、同工場で加工したマロンペーストが貢献しています。
 収穫の秋から冬にかけ、同工場は繁忙期を迎えます。中国のドライフルーツ市場は競争が大変激しいようですが、毎年日本人シェフを招き開催している新メニューの提案・技術講習なども機に、秀愛ドライフルーツの活躍の場が無限に広がっていくことを期待したいと思います 。