アヲハタの合弁会社の訪問

令和6年12月19日
 12月11日、斎藤総領事は海陽市 (煙台)にあるアヲハタと現地の果実加工企業との合弁会社(中文: 煙台青旗農業科技開発有限公司)を訪問しました。
 アヲハタは日本を代表するジャムの製造会社で、瓶入りジャムの生産量では国内シェアの約4割を占めています。同社は時代に先駆けて新しい商品を開発する点が特徴で、低糖度ジャムや低カロリーのジャムなども他に先駆けて開発しました。
 様々なフルーツをジャムの原料としているアヲハタですが、その主力は製品の約4割を占めるイチゴです。中国ほか世界各地からイチゴを輸入し広島県にある工場でブレンドしてジャムを生産しています。アヲハタは以前より果実原料の一次処理を行う煙台宏順食品有限公司と原料調達で協力関係にありましたが、2011年に海陽市に合弁会社を設立しました。
 この合弁会社では、イチゴの品種研究から親苗の生産までを行っています。ここでの研究と試験で厳選された親苗が、宏順食品の契約農家で栽培され、実ったイチゴが冷凍状態で広島工場に出荷されることになります。
 イチゴの一つの品種が開発されるまでには10年近い年月を要し、かつ納得のいく品種ができるのは何万本に1本という確率だそうです。またイチゴには20種くらいのウイルス病原のリスクがあるそうですが、こちらの拠点ではウイルスフリーの検査を通った親苗だけが出荷されています。一本の親苗を作るのに途方もない時間と労力が重ねられていることを知りました。
 実はアヲハタ煙台拠点で生産されるイチゴ親苗のうち、日本向けとなるのはわずか数パーセントに過ぎず、大多数は中国国内の育苗業者や農家向けだそうです。中国各地で美味しいと感じるイチゴは、もしかしたらアヲハタ煙台拠点の親苗から派生して育ったものかもしれませんね。
 ついでながら、イチゴは同じ実から取れる種を栽培しても同じ品種は育たないそうです。同じ品種を育てるには親苗から伸びるつるのようなランナーにある小さな芽から栽培する必要があるとのこと。皆さん、知ってましたか?