煙台市の有機農法企業を訪問しました

令和6年12月19日
 12月11日、当館吉田首席領事は、煙台市内の山東緑源唯品農業高新技術有限公司を訪問しました。同社は有機の農作物、酪農に取り組む企業で、前身はアサヒビール、伊藤忠、住友化学の共同出資により2006年に設立された「山東朝日緑源農業高新技術有限公司」です。
 もともと「山東朝日」は、山東省政府と日本のアサヒビールが、日本の農業技術を利用した三農問題(注:農業、農村、農民問題)の解決について意見交換した産物として設立されたものです。生態環境に配慮した日本の技術を導入し、中国の循環型農業モデルのパイオニア的存在であったとも言えます。日本の専門家(岩瀬慎司獣医師)も現地で管理、指導を行ってきました。その後、アサヒグループは株式を中国企業(新希望乳業)に譲渡し、2019年に現在の企業が設立されました。
 「緑源唯品」は、約4万平方メートルの広大な牧場で乳牛を飼育(約2500頭)しているほか、耕地(約100ヘクタール)では様々な野菜やイチゴ等の果物の栽培を行っています。有機農法には良質な土壌づくりが大切との考えから、まず5年程の歳月をかけて土壌を改善しています。また牛を飼育し、牛糞堆肥を利用した土地で育った農作物は、市場に販売する一方、乳牛の飼料としても一部活用し、高品質な牛乳の生産に取り組んでいます。中国の有機認証のほか、日本のJAS有機認証も取得し、安全性に対する信頼性を高めています。
 有機農法は、一般農法に比較してコスト高となりますが、日本の技術を受け継いだ循環型農法にて生産された、より安全・安心で美味しい食物や牛乳が、食卓に上る選択肢の一つとして更に広まっていくことを期待しています。