FUSO青島工場の訪問

令和7年4月16日
 4月10日、斎藤総領事は扶桑化学工業(FUSO)の青島崂山工場(中文: 青島扶桑精製加工有限公司)を訪問しました。 
 1952年創業のFUSOは日本で唯一の果実酸の総合メーカーで、中でも飲料の酸味料として使われるリンゴ酸は、国内だけでなく各国に輸出され、世界でも大きなシェアを獲得しています。また半導体研磨剤の原料であるコロイダルシリカの製造メーカーとしても有名で、こちらはなんと世界シェアの9割を誇ります。
 FUSO初の海外生産拠点として1994年に青島市の崂山区に誕生した生産拠点では、クエン酸の精製を主業務としています。クエン酸はリンゴ酸と同じく食品の酸味料やpH調整などに使われるほか、洗剤、歯磨き粉、入浴剤などの日用品、更には一部の工業用品に至るまで、その用途は多岐に及んでいます。
 日本で使われるクエン酸の約9割は中国産で、そのうちFUSO製品は約4分の1を占めるとのこと。日本で日頃飲んでいる清涼飲料水のスッキリ感は、中国抜きでは味わえないのか...、そう思うと実に感無量です。これも日中間の相互依存性を示す一つの好事例と言えるでしょう。
 同工場では中国市場向けにもクエン酸を生産しています。電子材料分野にて先端素材の開発・生産を通して培ってきた独自技術・ノウハウを活かした高品質な製品は、国内でも着実に需要が高まっています。ところで皆さん、クエン酸の原料はトウモロコシだってご存知でしたか? ちなみに中国語では「檸檬 (レモン)酸」と書きます。
 現在、FUSOの中国生産拠点はもう一か所、同じく青島市内の西海岸新区にあり、そちらでは日本で製造する超高純度のコロイダルシリカの原料として、中国国内で産出される材料を粉砕する作業を行っています。この製品を使用した研磨剤は半導体を高集積化、微細化するために欠かせないものになるということです。
 FUSOの製品は消費者が直接目に触れることがないものの、実は私たちの日常生活の様々な場面で、欠かすことのできない重要な役割を果たしていることが分かりました。クエン酸やクロイダルシリカの用途は、今後更に広がると見込まれます。頼りになる「縁の下の力持ち」であるFUSO青島拠点の益々の活躍を期待したいと思います。