大和総研の済南関連会社の訪問

令和7年5月20日
 5月9日、済南市に出張中の斎藤総領事は、大和総研の関連会社である済南訊和信息技術有限公司を訪問しました。大和総研は日本有数の証券会社の一つである大和証券グループのシンクタンクとして、リサーチ、コンサルティング、システムを中核に、経営課題解決に向けた高度なデータ分析・AI・DXを融合したソリューションを提供しています。
 同社はアウトソーシング・ソフトウェア開発産業を重視する済南市に着目し、2011年から同分野の大手である中訊グループと提携関係を開始しました。数回にわたる提携関係の見直しを経て、昨年から現在の済南訊和信息技術有限公司の下で、日本企業向けにシステム開発を行っています。対日アウトソーシング企業として、済南市で最大規模を誇ります。日本向けの業務のため日本語は必須です。同社では様々な形で日本語研修にも力を入れており、約700人いる従業員の約半数がN2以上の日本語資格を有しています。
 日本の関連業界は当初、コストメリットを理由として中国でのオフショア開発モデルを導入しましたが、今ではソフトウェア開発を中国で行うことについて、品質管理や情報セキュリティの観点から様々な意見が出ています。これらに対し大和総研としては、情報漏洩を防ぐ環境の確保と品質管理を含む人材育成の重視などにより、安定した活動と業績を維持できているとのことでした。
 どんな業態であれ、海外で事業を行う限りメリットとともにリスクは付きものです。重要なのは現場の状況を実際に確認し、想定し得るリスクをいかに管理できるかという検討に基づく判断のように思われます。大和総研の済南におけるビジネスは、単に経営課題解決に向けたソリューションを提示するだけでなく、日本企業がいかに中国 とウィンウィン関係を築けるかという命題に向けたソリューションも提示しているように感じました。