山東太古(STAECO) の訪問

令和7年6月9日
 5月27日、済南市に出張中の斎藤総領事は、済南空港で航空機の整備を行っている山東太古飛機工程有限公司(STAECO) を訪問しました。同社は英国に本部を持ち航空機整備の分野で世界大手の太古集団 (Swire Group)の傘下企業として、山東航空集団との合弁により1999年に設立されました。
 主に国内や周辺諸国との間など近距離運航される小中型機が対象で、当該機種の整備に関してはアジア最大の規模を誇っています。これまでに日本を含む15か国政府から正式な整備の事業認可を取得しており、山東航空以外の中国の航空会社や海外の航空会社も多く利用しています。ちなみに大型機に関しては、香港やアモイの空港にある太古(HAECO)の整備拠点が担当しているとのことです。
 STAECOを利用する海外の航空会社の中では、日本の全日空のシェアが最も大きく、全日空が保有する小型旅客機のほぼ全てが済南で定期の重整備を行っており、その数は年間30機程度に上るそうです。見学した際にも見慣れた全日空の機体を数機、敷地内で見かけることができました。STAECOには全日空からも技術社員が一人駐在しています。
航空機の整備場を見学できる機会は滅多にありません。間近で見る機体は何れも迫力満点ですが、整備中の機体の中を覗くと狭く感じたのは意外でした。STAECOの敷地内には4か所の格納庫があり、各格納庫では同時に最大6機を扱うことができることから、見学時にも国内外の様々な航空機を見かけました。
 航空機整備といえば日常の定期点検しか思い浮かばず、2~3年に一度という大がかりな定期整備といえどもてっきり各空港の整備場において自前で行っているものと単純に思い込んでいましたが、今回あらためて専門の会社があり国際的なスケールで分業体制が敷かれていることを知りました。関係者によると、全日空以外の日本の航空会社の各社も独自の提携先を海外に持っているそうです。  
 今回の訪問を通じ、航空業界においても単に乗客の輸送にとどまらず様々な分野で日中協力のスタイルがあり、その意味で山東省も大きな役割を果たしていることをあらためて知ることができました。