IHI運搬機械の合弁工場の訪問

令和7年9月12日
 9月2日、斎藤総領事は青島市内にあるIHI運搬機械の合弁工場を訪問しました。IHIは日本の三大重工業の一つに数えられる大手製造会社で、そのグループ会社であるIHI運搬機械は、立体駐車場システムの開発設計から製造、メンテナンスまでを一貫して行っています。エレベータ式立体駐車場に関しては、日本国内シェアの30%を占め業界トップを誇ります。
 2018年に青島華通集団との合弁で設立され、2023年には斉星車庫有限公司も加わり三社合弁となった現地工場 (中文: 青島華通石川島停車装備有限責任公司。以下「華通石川島」)は、中国市場向けに立体駐車場設備の開発・設計・製造・メンテナンスを主業務としています。IHIにとっては中国における唯一の立体駐車場の生産工場となります。
 公共施設や公園などの地下に設置される駐車場はこれまで、自走式タイプと、車を載せた台車が直線的に移動するPPYといわれる機械式タイプが主流でした。「華通石川島」が製造しているSSPは、パズル式に縦横に車を移動させる水平循環と呼ばれるタイプで、面積をより効率的に使えるため、同じ広さでも自走式の約2倍 、PPYの1.5倍の車を格納することができます。中国でSSPタイプを製造しているのは「華通石川島」のみだそうです。
 既に青島市内では複数箇所に同社製の立体駐車場が導入されています。現在中国では、車の数が年間3000万台ペースで増え続け、都市化も続く中で、都市部の駐車場の需要は高まる一方です。他方、近年の不動産不況の影響を受け、供給は停滞気味というジレンマを抱えた状況にあります。「華通石川島」は現在、財政規模の比較的大きい大都市を中心に販路拡大を目指しているとのことですが、苦境の中でも着実に認知度を高め、その高い技術力がより多くの都市で認められる日が遠からず来ることを期待しています。