RSテクノロジーズの中国生産拠点の訪問

令和7年11月24日
 11月12日、徳州市に出張中の斎藤総領事は、RSテクノロジーズの中国における生産拠点の一つである現地拠点 (中文: 有研艾斯半導体材料有限公司、以下「山東GRITEK」) を訪問しました。日本留学経験者(帰化済)により2010年に設立されたRSテクノロジーズは、半導体デバイスの製造に使われる円盤状のシリコン基板(ウェーハ) の再生事業を主軸とする会社です。
 その分野では世界最大のシェアを誇る RSテクノロジーズですが、より大きな市場であるウェーハ自体を製造する分野にも進出することを決意します。2018年に中国の同業界で先駆的メーカーである有研半導体材料有限公司(GRITEK)との合弁会社を北京で立ち上げ、その子会社として山東GRITEKも設立されました。山東GRITEKでは主に中国市場向けに5、6、8インチのウェーハを製造するとともに、更に同じ敷地内の孫会社で12インチ専用のウェーハも製造しています。
 現在、ウェーハ製造分野での中国市場におけるシェアは約20%(世界シェアだと1%)とのことですが、顧客ニーズへのスピーディな対応、ずば抜けた品質の安定性(低い不良品率)、コスト面での競争率を武器に、業績は順調に伸びているとのことです。今後は、主流化しつつある12インチ・ウェーハの製造拡大や、内製化が進むウェーハ再生事業の中国国内での展開も視野に入れており、徳州市政府からも新産業の牽引役として大きな期待が寄せられています。
 複雑な国際環境に晒されている半導体業界ですが、中国では電子産業の発展の追い風を受け、半導体もその技術的自立に向け急成長が続いています。その中で日本企業としてどのように関与できるかは確かに一つの課題ではありますが、「匠の世界」を売りにする日本の製造業界として、発展スピードが猛烈に早いこの分野で、その時流に乗り遅れるリスクだけは避けたい、または自身の技術を生かしたいと考えるのは、ごく自然な発想と言えます。時代の流れに即した対中ビジネスのあり方を考える上で、RSテクノロジーズの実践と挑戦は大いなる示唆を与えてくれている、そんな気がします。