山口コーポレーションの青島子会社の訪問

令和7年11月27日
 11月24日、斎藤総領事は山口コーポレーションの青島子会社(中文:青島静維世紀智能科技有限公司)を訪問しました。2014年創設の山口コーポレーションは、スマホアクセサリーを中心とする越境ECや通信販売サイトの設計などを主業務としています。会社の規模は小さいものの、独自ブランドの「シズカウィル(shizukawill)」はYahooや楽天など日本を代表する通信販売プラットフォームで複数回の受賞歴を有するなど、大きなビジネスを展開しています。ちなみに本社は山口県にあり社長の姓も同じ山口です。
 青島の子会社は、中国商品の調達・輸出を目的として2016年に開設されました。山口コーポレーションにとり海外唯一の拠点となります。70平米・数人で始まった事業は着実に成長を遂げ、4回の引越を経て今では1000平米・30人以上の従業員を抱えるまでに大きくなりました。現在取り扱う商品は、スマホアクセサリーから雑貨類まで約5000品目もあるそうです。以前は商品を工場から直送していましたが、不良品が多いため検品を社内で行うこととしたことで、返品リスクが減ったとのことです。
 なぜ中国の調達基地が青島だったのか? 総経理にお聞きすると、山口コーポレーションはご自身が前職の貿易会社(青島)に務めていた頃の取引先でしたが、コストの相談を受けているうちに子会社を設立する話となり、ついには自身の手で親族の住む青島に拠点を開設することになったそうです。子会社化すれば当然、維持費や人件費が発生することになり、また商品の調達先は南方が多いので輸送コストもかかるわけですが、それでも以前と比べれば総合的なコストは割安なのだそうです。
 近年はスマホやアクセサリー・デザインの更新ペースが以前より遅くなり売り上げにも影響しているものの、それでも毎年着実な伸びを達成しており、青島拠点では今年から第三国への販売拡充にも着手しています。製造業ではなくサービス業という職種であることに加え、従業員の平均年齢は30代で全員女性、更に日本語のできるスタッフが10人以上もいる(山東省内の日本企業でもこれだけ多いのは稀!)という点も大きな特徴と言えます。
 総領事は最近、山東省と友好都市関係にある山口県の青島進出企業を続けて訪問してきました。職種に関わらず地方都市の中小企業であっても、長年にわたり当地に根付き中国ビジネスで着実な成果を上げているこれらの例は、日本の多くの中小企業にとっても示唆に富んでいると思います。当館としては今後とも、日中ビジネスの可能性を示すこのような話題を積極的に提供していきたいと考えています。