アート金属工業の濱州拠点の訪問

令和8年3月27日
 3月19日、濱州市に出張中の斎藤総領事は、アート金属工業の現地拠点(中文: 濱州亜泰雅徳動力配件有限公司。以下「BYA」)を訪問しました。1917年創設と長い歴史を有するアート金属工業は、自動車エンジン用ピストンの専門メーカーで、日本国内トップシェア、世界シェア3位を誇ります。若き日の本田宗一郎氏(ホンダ自動車の創設者)が前身の会社に勤務していたことでも知られています。
 2005年に地元企業との合弁で設立されたBYAは、ピストン耐摩環といわれるリング状の部品を主力とするピストン構成部品を製造し、世界中のアートグループをはじめとする欧米の主なピストン製造会社に供給しています。アート金属工業の中国生産拠点は安徽省にもありますが、濱州市についてはもともとこの地がピストン耐摩環の生産基地であることが進出のきっかけだったそうです。
 世の中が電気自動車の普及一色に染まろうとする状況下、本社では「今後も内燃機関の需要はあり続ける」との経営判断がなされ、引き続き開発が進められました。その結果、ハイブリッド車や水素燃料車など内燃機関を必要とする新エネ車への需要が高まるとともに、同社はハイスペックを武器に業界内の淘汰を勝ち抜き、安定した業績を保つことに成功しています。
 BYAはアート金属工業グループ内でピストン耐摩環を製造する唯一の工場として重要な位置づけにあります。工場内を見学すると、不良品に対する教育や配慮が徹底しているのがとても印象的でした。競合他社との差別化を図る上での日系企業らしさを感じます。構内では一部残る設立当初の工場跡のすぐ横に大きな新工場が増設されており、そのコントラストがBYAの20年来の発展の重さを無言のうちに語りかけてくるようでした。
  (おそらく)濱州市唯一の日系企業として孤軍奮闘するBYAが、今後ともこの地で大きな存在感を放ち続けてくれることを期待しています。