アジア食品安全研究センターの青島拠点の訪問

令和8年10月10日
 9月28日、斎藤総領事はアジア食品安全研究センターの青島拠点(中文: 青島誠誉食品検測有限公司、以下「誠誉」)を訪問しました。「誠誉」の前身となる組織は、日本向け輸出食品の安全検査を行うことを目的として、2003年に10社以上の日本企業が共同出資し設立されました。その後、2004年に現在の「誠誉」を運営する母体として日本にアジア食品安全研究センターが誕生しました。中国拠点と日本本社の設立順が通常と反対というのは興味深い話です。
 農業大省と言われる山東省では、食品加工に関係する日系及び中国企業が数多く存在します。日本では以前、中国から冷凍野菜を多く輸入していましたが、中国と日本では食品の安全基準が異なることから、農薬、微生物、有害物質などを輸出前に検査する需要が高まりました。大手企業の中には自前で検査体制を有するところもありますが、「誠誉」は日系で唯一の独立食品検査機関として大きな存在感を放っています。
 過去20年間にわたる中国から日本への食品輸出の状況を当局の公開データで見ると、内容が加工品中心に変化したことにより、量的には横ばいながら件数的には2倍強に伸びています。他方、日本の国内流通における違反率は0. 2%程度と海外全体の約0. 4%と比べかなり低水準のまま推移しています。これは「誠誉」などによる中国国内での事前検査が如何に徹底しているかを客観的に示すものと言えます。
 農薬の使用基準は頻繁に変更されています。発がん性物資についても、植物が本来的に有していたり気候条件により自然に発生するものもあります。更には検査の方法により同じ検体でも結果が異なる場合もあり、データの解析には細心の注意が求められます。「誠誉」では高性能の機器を多く揃え、大手メーカーからも難易度の高い検査を依頼されるなど、違反率の抑制に大きく貢献しています。
 日本人の安心安全な食生活を支えている輸出前検査の実態については、必ずしも広くかつ正しく知られているとは言えません。SNSの普及により、断片的な情報から全体の印象が安易に形成されやすい状況下、少なくとも人の命や健康に関するものについては客観的事実を見ようとする勇気と自身の冷静な判断力が重要である、今回の会社訪問はそんなことを再認識させてくれる良いきっかけとなりました。